「へえ〜、聖堂の中ってこんなんなってんだ。」
 物珍しげに周りを見回すロイド。
「よ〜し、それじゃぁ、ちゃっちゃと片付けちゃおうぜ!」
 するとそんなロイドにユアンが声をかけて来た。
「ロイド、お前の剣は我流か?」
「俺の剣?…柳生新陰無外北辰二刀流だけど。」
「聞いた事があるような、ないような、微妙な流派だな。開祖は誰だ?」
「ええと、北辰一刀流を免許皆伝になった人の息子のいとこの友人の知り合いが行き付けの鍛冶屋の息子だよ。」
「???…名前は?」
 ロイドはニッコリとすると自分を指差して、
「俺♪」
「我流じゃねえかっ!!」
「そう言うあんただって我流だろ?」
「ん?あ、ああ…まあ…道場に通う金がなかったものでな……って、私の事はどうでもいいんだよっ!!今問題にしているのはお前なのだ。」
 そう言いながら、ユアンは一冊の本を取り出すとロイドに渡した。
 首を傾げるロイド。 「これは?」
「剣術指南書だ。神子を守りたいのなら基本ぐらい知っておくべきだろう。クラト…い、いや、知る人ぞ知る有名な剣士の著書でな、為になるぞ。」
「それならあんたが持ってりゃいいじゃん。あんただって我流なんだから。」
「それでは話が進まんだろうがっ!!私は親切でお前に…。」
「わ、分かったよ。受け取ってやるから泣くなよ。」
「泣いてなんかいない!!」

“ロイドは剣術指南書を押し付けられた”

(あとで古本屋に叩き売ろう。この厚さだ。ちょっとしたお小遣いぐらいにはなるだろう。)

 気を取り直して奥に進もうとしたロイド達。だが道が塞がれていた。
 コレットの話では、その先に行くにはどうやら『ソーサラーリング』と言うものが必要なようで、そこで一行はまずそれを取りに行く事にする。
 右手の階段を下りて行くと、やがて開けた場所に。そこは床がガラス張りで、しかも何やら9つの穴が開いていると言う奇妙な部屋であった。
 そこから下の方に目をやるとキラリと光るものが…。
「あ、あそこにあるのがソーサラーリングじゃない?」
「そうみたいだな。でもどうやって行くんだ?」
 ロイドの言うように下の通路は所々途切れており、リングがある場所まで辿り着けそうもない。
 するとそんな一行の前に突然ゴーレムが現れたのだった。驚きながらも何とか倒す一行。ゴーレムは動きを止めると、その姿を岩に変えた。
「うわ〜、岩になっちゃったよ〜。」
 驚きの声を上げ駆け寄るコレット。しかしその前でこけてしまい、岩は彼女に押され近くの穴から下へと落下して行ってしまう。

 それを見ていたジーニアスが声を上げた。
「そうか!」

 しかしロイドとユアンは分からない様子であった。しきりに首を捻っている。
 ジーニアスは眉を顰めると、
「分からない?岩になったゴーレムを下に落として道を作ればいいんじゃないか。全くロイドなら兎も角、ユアンさんまで分からないなんて。しっかりしてよね。」
「わ、私は分かっていたぞ。今、そう言おうと思っていたところだったのだ。」
「本当に?」
 疑わしげな目を向けるジーニアス。
「まあいいや。それじゃぁ、ゴーレムを倒して下に落とそう!」

 こうしてゴーレム退治に励んだ結果、一行はなんとかソーサラーリングを手に入れる事が出来たのであった。
 その足で奥へと向かう。


「どうやらここが最上階のようだな。」
 ユアンの言葉に頷きながら周りを見回すロイド達。
「てぇことは、あそこにあるのがクルシスの輝石か?」
「うん、そうだよ。私はあれを握って生まれて来たんだって。」

 するとそこへ天から光が差し込んで来て、なんと一人の羽の生えた男性が一同の前に降りて来たのだった。

「な、な、何だ、あいつ!?」
 驚くロイド達。
 そんなロイド達にユアンが言う。
「あれが堕天使だろう。」

 その言葉に羽の生えた男は墜落した。

「堕天使ではない!私はクルシスの天使、レミエルだ!!」
「そうか、すまん。思わず本音が…」
「……」

 羽の生えた男はユアンをキッと睨み付け何かを言いかけたが、ここで喧嘩をしても仕方がないと思い直し、取り敢えず話を進める事にする。コレットの胸にクルシスの輝石を授けると、
「今この時よりそなたは再生の神子となった。まずは火の封印を解くのだ。よいな。」
 大幅に内容をカットしてそのまま立ち去ろうとした。
 するとコレットが、
「お待ち下さい、レミエル様。レミエル様は私の本当のお爺様なのですか?」

 去りかけていたレミエルは再び墜落した。

「誰が爺様だ、誰が!!それを言うならお父様だろうが!!」
「ご、ごめんなさい。お顔を見ていたらつい…。」

 ユアンはと見てみれば、必死に笑いを堪えている。

(あの野郎、今に殺してやる。)

 レミエルは苦虫を噛み潰したような顔で咳払いするとコレットに向き直り、
「まずは火の封印を目指す事だ。私はそこで待っている。よいな?我が最愛の娘コレットよ。」

 そして最後に気味が悪いとしか言いようのない笑みを残し、まるで逃げるかのにようにロケット並みの速さでシュパーッと飛んで行ってしまったのだった。

 それを見送った後、ロイドが言った。
「よおし、これで無事に神託を受けられたわけだ。それじゃあ帰ろうぜ、コレット。」
 そしてコレットとジーニアスを連れ、さっさとワープポイントから出て行ってしまう。

「ま、待て、先に帰るのは私だ!私を置いていくんじゃない!!」

 慌てて後を追うユアン。しかしもうロイド達の姿はなく、その代わりに見知らぬ女の姿が…。
 女はユアンに背を向け高笑いをしていた。

「フッフッフッ、ワーハッハッハッ…す、素晴らし〜〜い!!」

(何だ、この女。頭がおかしいのか?)

 首を傾げるユアン。
 するとその気配に気付いたのか、女はゆっくりと振り返るとユアンに血走った目を向けて来た。
「貴様、何故ここにいる!?」
「え?…い、いや、私は神子の護衛をババアに頼まれて…」
 女の尋常ならぬ様子に、ユアンは冷や汗を流しながら後退った。
「さては盗掘者だな!?この貴重な遺跡を荒らすとは許せん。神に代わってこの私が鉄槌を下してやろう!」
「え…い、いや…だから…」
 慌てて逃げようとするユアン。
 しかし時すでに遅く…。

「問答無用!チェスト〜〜〜ッ!!」

 ボカッ!!
 ギャアアアアアアアア〜〜〜〜!!!

 哀れユアンは聖堂の天井を突き破り空の彼方へと消えて行ってしまったのだった。

「こんな所にまで野盗が入り込むなんて…全く、油断も隙もないわね。もう少しパトロールしてから帰ろうかしら。」
 女は嬉しそうに舌なめずりすると奥に進んで行ったのだった。

 その後、ユアンの姿を見た者は誰もいない…。(いえ、次回ちゃんと出てきます)


−つづく−