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ロイド達が楽しく談笑していると、そこへやけに明るい音楽が聞こえてきた。
『えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々…(※阿波踊りより)』
と、同時にユアンが現れる。
「フ…。どうかな?私のテーマ曲は。クラトスのより明るくていいだろう。」
睨み付けるロイド。
「出たな、おじゃま虫!!」
「人を害虫のように言うな!」
「だって害虫じゃん。」
「……」
ユアンはムラムラと湧きあがる怒りを必死に抑えた。
今はこんな馬鹿に構っている場合ではない。
「心配せずとも、お前達の憩いの時を邪魔するつもりはない。そこにいる斧っ娘に聞くことを聞いたらすぐに消える。」
「私……ですか?」
何かを尋ねられる覚えもなく、不思議そうにユアンを見るプレセア。そんな彼女を庇うようにロリコン囚人(←誰のこと?)が前に出てくるが、ユアンはそれを蹴り飛ばして脇にどけるとプレセアの前に立った。
「実はな、ちょっとお前に『カミキ』について聞きたいのだ。」
「カミキ?…カミキって何ですか?」
「カミキも知らんのか。これだから馬鹿は困る。」
「…当代切ってのうつけものと評判のあなたに言われたくありません。」
酷い言われようだな、オイ!
一体誰がそんな評判をたてたのだ!?
またもやムッとしたものの、無理矢理笑顔を作るユアン。なにしろ頼みの綱はこの女だけなのだ。
「やだなあ、お譲ちゃん。カミキと言えば、お譲ちゃんが教会に納めている木のことじゃないか。」
「…それってもしかして神木のことですか?」
「え?しんぼく?……あ、ああ、そ、そうとも言うな。」
背後からロイド達の忍び笑いが聞こえてきたが、ユアンは強靭なる精神力(?)でそれを聞き流すと、話を続けた。
「…そ、その神木なのだが、私が調べたところ、なんでもオゼット近隣にしか生息しないそうなのだが、それに間違いないか?」
「は・・・はい。」
「ではもう神木は存在しないことになるな。」
「・・・私が伐採したものが教会に納められています。」
「やはりそれだけか・・・やむを得んな。」
踵を返し行こうとするユアン。それをロイドが引き止めた。
「待てよ!あんたがどうして神木のことなんか気にするんだ。」
「知りたいか?」
「知りたい!」
「フ…教えてやらんこともない。ただし、ここだけの話だ。くれぐれもユグドラシルには内緒だぞ。」
「ユグドラシル?…別にあいつとはわざわざ会いに行くような仲じゃねえし。」
「まあそうだな。では…。実はな、私は大切な材料集めに奔走しているのだ。お前のために!(←ベラベラとしゃべりまくる男)」
「俺?……俺、神木なんて必要ないけど?」
「今に必要になるんだよ。ほれ、これが私が必死になって図書館にあった『よい子の百科事典』から調べ上げた材料だ。」
そう言いながらユアンはポケットからメモを取り出すと、それを得意げにロイドの鼻先に突きつけた。
「なになに…ライスに玉ねぎ、レッドソディ、肉にポテトにニンジン……って、これってカレーライスの材料じゃん。」
「えっ!?……あ、間違えた。これはユグドラシルから頼まれた買い物メモだ。なんだか急にカレーが食べたいと言い出してな。」
「…あんたも色々苦労しているんだな。」
「ええと、本物のメモは……どこにしまったかな…ええと…おお!あった、あった!」
顔を輝かせ再びメモを取り出したユアンであったが…
「別にいいよ。見たって仕方ないし。」
「そんな冷たい事を言わなくても…。折角私がお前の為に苦労して調べ上げたというのに…。」
「お前の為、お前の為って恩着せがましいんだよ。俺は頼んでないだろ!」
「それはそうなんだが…」
寂しそうに目を伏せるユアン。だがすぐに気を取り直すと、
「まあ、いいか。(どうせ後で泣いて感謝されるんだから)…そうそう、それよりもロイド。おまえ達が行っている精霊との契約は・・・やめるのだな。」
「言われてやめると思うのか!?」
「でないと恐ろし〜いことになるぞ。その時になって泣いても知らんからな。」
「泣くかっつーの!てか、世界を同時に救う方法が他にないなら、やるしかないだろ!」
「どうなってしまうのか予測できない行為は危険だ。取り返しのつかない事態になるやも知れぬ。親の言うことは素直に聞くものだ。」
「え?親?」
「い、いや、目上の者という意味だ。・・・と、とにかく焦るなよ。ロイド。」
思わぬ失言に、スタコラサッサと逃げて行くユアン。
ロイド達は呆気にとられた表情でそれを見送っていた。
いかん、いかん。もう少しで父親だとバレるところだった。もう少し気を付けて行動せねば…。
しかしあいつも、人がせっかく忠告してやったというのに本当に頑固な奴だ。第二次反抗期か?…まったく、あの年頃の子どもは扱いに困る。
これは近い内に再び接触しなければならんかもしれんな。あいつらが全精霊と契約してしまう前に…。
ユアンは前途多難な現状に深々と溜め息を突くのだった。
−つづく−