【注意!】
1.これはあくまでフィクションです。実際にはこのような事は行われておりません。
2.ゼロスファンは恐らく頭にくるでしょうから読まないで下さい。
3.これは小説と呼べる代物ではありません。殆どが会話で成り立っており、筋もへったくりもありません。
4.教育上よろしくありませんので、18歳未満の方は回れ右をお願いします。
以上の事を踏まえ、全然OKよ!と言う方のみお読み下さい。
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十一人の怒れる男女+一匹
「え〜、それではこれより、『イセリア村立学校落書き事件』の裁判を行いたいと思います。」
机上の木槌を叩きながら嬉しそうにミトスが言った。
本法廷に集まったのは下記の通り。
被告人:ゼロス
弁護人:クラトス
検察官:リフィル
裁判官
裁判長:ミトス 右陪席:リーガル 左陪席:ユアン
陪審員
ロイド コレット ジーニアス プレセア しいな ノイシュ
「ちょっと待った〜〜!!」
一同を見回したゼロスは声を上げた。
「そこ!右陪席!!…なんで手枷野郎がそんなトコ座ってるんだよ!!」
「フ…まだこの罪は償えていない。」
「償えてねえなら、てめえがこっちに座れって〜の!それにそこの犬!!動物のくせに陪審員なんか務まるわけねえだろ!」
「ガルルルル〜〜!(犬じゃないもん!)」
「大体、何で俺様が被告人なんだよ!!俺様は無実だ!濡れ衣だ!冤罪だ〜〜!」
「静粛に!あんまり騒ぐと退廷命じちゃうよ〜。」
バンバンと木槌を叩きながらミトスが言う。凄く嬉しそうだ。
(テレビの見過ぎだろう。本当の裁判官は木槌なんて持ってねえって…)
それを見たゼロスがそっと呟く。
しかしジーニアスはそんなミトスに憧憬の目を向けると言った。
「カッコいいよ、ミトス。」
「そう?エヘヘ…一遍やってみたかったんだよね、これ。『静粛に!(パン、パン)』な〜んてさ。」
「うわ〜、威厳たっぷりだよ!」
「そう?エヘヘ…照れちゃうな。」
(もうどうでもいいっす…。勝手にやって下さい。)
ゼロスはなんだか泣きたい気分になってきた。
すると…
「安心しろ、ゼロス。必ずや私が無罪を勝ち取ってみせよう。」
「さすが天使様〜〜!!…でも、天使様、裁判なんかやった事あるわけ?」
「いいや。生まれて初めてだ。」
「……」
「だが心配はいらない。この日の為に『メリー・ポピンズ』のビデオを見て勉強して来たからな。」
(ここにもTVかぶれがいた!…でも『メリー・ポピンズ』だって?)
「…それってもしかして『ペリー・メイスン』の間違いじゃねえの。『メリー・ポピンズ』はベビーシッターでしょ?」
「そうなのか?道理でほのぼのとした内容だと思った。名前が似ているから間違えてしまったようだ。」
(『リー』しか合ってねえじゃん…。てか普通、途中で気付くっしょ?)
「しかしあれは感動的だったぞ。お陰でティッシュを一箱使い切ってしまった。」
「あ、そ。それはそれは大変だったね…。」
『あれってそんなに泣くような話だったか?』と思ったものの、ゼロスは一応同情の意を示してから言った。
「でもさ、悪いけどそんなのは俺様にとっちゃあどうでもいい事なんだよね。このままじゃ俺様、無実の罪でムショ送りになっちゃうわけ。分かる?だからとにかく今は俺様の弁護に集中してくれないかね?」
「おう、もちろんだ。その為に私はここにいるのだからな。任せておけ。」
バシッと胸を叩いてみせるクラトスを見て、ゼロスは急に不安になってきたのだった。
【起訴状朗読】
「それでは、リフィル検事。起訴状朗読をして下さい。」
「はい!」
キリリとした表情で立ち上がるリフィル。その横には何故かデッキブラシが立てかけてある。
(なんで検察官がデッキブラシを持っているわけ?)
「○○年×月□日※時△分。イセリア村立学校内にて書きたてホヤホヤのまだ湯気がたっている落書きを発見…。」
「湯気がたった落書きなんて一度見てみたいもんだね。」
「そこで同日、たまたま学校を訪れていた、見るからに怪しい被告人を職務質問したところ…」
「たまたま訪れただけで職務質問されちゃうわけ?それに見るからに怪しいって、そりゃ、失礼っしょ。」
「被告人はサインペンを所持していおり、DNA鑑定の結果、落書きに使われたものと同一のものと判明…」
「DNA鑑定?…サインペンを?」
「え〜い!煩くてよっ!!」
一々ブツブツと反論してくるゼロスに、ついにキレるリフィル。
「この起訴状は昨日徹夜で書いたんだから黙って聞きなさい!!」
(ああ…そうっすか…)
「改めて問い詰めた所、自白。よってここに起訴する事とする。」
「いや、俺様、自白なんてしてないっしょ?」
「煩いと言っているのが分からないようね。」
リフィルはニヤリと不気味な笑みを浮かべると、尚も反抗するゼロスの頭をデッキブラシでジャリジャリとこすった。
「言う事を聞かない子はお仕置きよ。」
(ああ、この為に持っていたわけですか…)
ゼロスは納得したものの、何故かこのデッキブラシは濡れており、お陰で『水の滴るいい男』になってしまっている。まあ普段からいい男だから、これで更に磨きがかかったと言えない事はないが、こうビショビショにされては折角のセットが乱れてしまう。
そこで恐る恐る苦情を述べるゼロス。
「……あの〜、このデッキブラシ、なんだか水が滴っているんですけど?」
「あらごめんなさい。今朝出掛けにトイレ掃除をして来たものだから。」
「!!…んなもんで人の頭をジャリジャリするな〜〜!!」
「静粛に!!(パン、パン)」
(だから何でお前はそんなに嬉しそうなんだよ…。そんなにトンカチをパンパン叩きたけりゃ、ダイクのおっさんにでも弟子入りすりゃいいだろ。)
ゼロスはもう半分やけくそになっていた。
そんなゼロスを余所に裁判を進行するミトス。
「え〜、では被告人。只今の起訴状の内容を認めますか?」
「認めるわけないっしょ。この俺様が何が悲しくてあんな田舎くんだりまで行って落書きせにゃならんのよ。否認します!」
と、そこへ、ロイドの呟く声が聞こえてきた。
「“ひにん”って何だ?」
それに親切に答えてやるコレット。
「非人って言ったら、人じゃないって事だよ〜。」
(ちょ…それは違うっしょ!)
「おお、そうか!…あいつ、前から変な奴だと思っていたけど、成る程な。人じゃなかったんだ。」
「そだね〜。」
(……てめえら…後で覚えておけよ…)
「では、クラトスの…いや、弁護人の意見は?」
「え〜、弁護人が考えますに、当裁判は全く持って不当としか言いようがありません。」
(お!?いいねえ、いいねえ。弁護士って感じじゃねえの。)
「被告人は当日たまたま学校を訪れ、たまたまサインペンを持っていたに過ぎません。しかもこのサインペンにしても、いつどこででも誰にでも手に入れられる有り触れた代物。それなのに、ただ顔が変質者的だと言うだけで逮捕すると言うのは、人権侵害以外の何物でもないと考えております。」
(変質者的な顔で悪うござんしたね。あんたの発言の方がよっぽど人権侵害でしょ?)
「よってこれを強く抗議すると共に、弁護人としましては、無罪を主張し戦って参りたいと考えている所存でございます。」
「よっ!天使様、カッコいい!!」
パチパチと拍手喝采するゼロス。
クラトスは『フ…』と笑みを浮かべている。
と、そこへリフィルが立ち上がって口を挟んできた。
「そううまく行くかしら?こっちには証拠があるのよ。」
「証拠だと?…サインペンの件ならさっきも言ったように…」
「それだけじゃないわ。まず第一に現場が女子トイレである事…」
(ちょっと待て!何で女子トイレだと俺様って事になるわけ?犯人は女性だって考えるのが普通でしょ?)
「第二に落書きの内容です。『俺様てんさ〜い!』『俺様いっちば〜ん!』『ハニ〜、お茶しな〜い?』『クラトス〜、萌え〜!』などと言う下品な言葉で書かれていたのよ。」
「だから俺様が犯人だと言うわけ?フン、馬鹿な事を。天使様、ビシッと言ってやってよ。」
リフィルの上げた証拠に、ゼロスは鼻で笑ってみせるとクラトスの方へ振り返った。
ところがクラトスの様子がなにやらおかしい。目を見開きゼロスを凝視しているのだ。
「な、な、何、天使様?その疑惑に満ちた眼差しは…」
「そうか!貴様が犯人かっ!」
「はい!?……な、な、な、何を言っているの!」
「そのような事を書くのはお前しかおらんだろう!しかも女子トイレときたら尚更だ。吐け〜!この場で全て白状してしまえ〜!」
ゼロスの胸倉を掴み揺するクラトス。
「ちょ、ちょ、止めなさいって!!」
ゼロスは慌ててクラトスを引き離すと、
「あんた弁護人でしょ!!弁護人が依頼人を締め上げてどうすんの!?」
「ん?…お、おう、そうだったな。すまん、つい…」
「全く…頼むよ、もう。大体俺様が犯人だったら、そんな一目で分かるような証拠を残してくるわけないでしょ。」
「そう言えばそうだな。その点お前は狡賢いものな。」
「…狡賢い?」
「いや〜、すまなかった。だが、本当にお前ではないのだな?白状するなら今の内だぞ。情状酌量という道もある。」
「……怒るよ。」
「ほんの冗談だ。」
(……天使様が言うと冗談に聞こえないから怖い。)
そんな二人の様子を見て高笑いするリフィル。
「ホッホッホッ!内輪揉めしているようではもう駄目ね。勝ちはもらったわ。」
「甘いな。裁判とは逆転劇があるから面白いのだ。」
「お!?言うねえ。って事は何か切り札を持っているわけだ。期待してるよ。」
「いや、そんなものは何もない。だが、ドラマでは決まってこの後重要な鍵を握る証人が現れる筈だから、恐らく大丈夫だろう。」
「……そうっすか。」
【被告人質問】
「では、被告人に質問します。被告人はどうして学校を訪れたのですか?」
「久し振りに親友に会いに行ったんだよ。別に不思議はないっしょ。」
そんなゼロスの耳にロイド&コレットの会話が聞こえてくる。
「親友って誰の事だろうね〜?」
「さあ?あいつに親友なんていたんだ。」
「……」
ゼロスはハラハラと涙を流した。
咳払いをして質問を続けるリフィル。
「それでは何故サインペンを所持していたのですか?」
「筆記用具ぐらい誰だって持っているっしょ。」
「ボールペンならまだしも、サインペンを?」
「道でよくサインを頼まれるからだよ。あ っ、煩いな、もう!ナイフ持っていたわけじゃねえんだからいいだろ!!」
「まあ!あなた、ナイフを持ち歩いているの!?」
ゼロスの言葉に目を見開くリフィル。
「ダ〜〜〜、違う!持ってねえって言ってんだよ、分からねえアマだな!!」
凄むゼロス。どうやらすっかり被告人が板に付いてしまったようだ。
「皆様、聞きまして?まるでヤクザだわ。お〜、怖い。」
ざわめく一同。
「ゼロス、やけになってはいけない。裁判官や陪審員の心証を悪くするだけだぞ。」
「分かってるよ。でもあまりに頭にきたものだから…」
そう言いながら周りを見回すゼロス。
ユアンは居眠りをしていた。
ジーニアスは剣玉をやっており、ミトスはそれに見とれている。
「うわ〜、器用なものだね。それって何て技?」
「世界一周って言うんだ。」
「へえ〜。凄いなあ!」
そしてプレセアはノイシュの肉球をモミモミしており、リーガルはその横で彼女を口説いている。
「プレセア、我が屋敷に来れば肉球グッズが沢山あるぞ。今度二人でフニフニしようではないか。」
「ムッツリスケベのおっさんは嫌いです…。」
「ガ〜〜〜ン!」
(誰も聞いてねえじゃん…。)
にも拘らず、リフィルは相変わらず演説をぶっていた。
「やはりこの男は危険です。変質者です。こんな凶暴な殺人鬼を野放しにしていていいのでしょうか!」
「ちょっと!俺様、いつから殺人犯になったわけ?」
「煩くてよ!!」
リフィルの怒号と共に何かが飛んできてゼロスの頭を直撃する。よく見ればそれは、先日テレビで何者かに盗掘されたと報道されていた仏像であった。
(犯人はお前だったのか!…てか、俺からしてみりゃ、あんたの方がよっぽど強暴だと思うけど?普通、こんなもん投げて来ないっしょ。)
そうは思ったものの、報復が恐ろしくて何も言えないゼロス。
そこへ立ち上がったのがクラトスであった。
「異議あり!…検察官の言葉は偏見に満ちております。こんな真面目な青年を掴まえて変質者とは、なんたる雑言!撤回を求めます!!」
「天使様〜〜〜!!」
感涙にむせぶゼロス。
ところがそこへ、再びロイド&コレットの会話が聞こえてきたのだった。
「ロイド、知ってる?この間、ゼロスにアルバム見せてもらったの。そしたらね〜、ぜ〜んぶクラトスさんの写真だったんだよ。しかもいかにも隠し撮りしました〜ってやつ。」
「げ!ホントかよ!!」
「異議を却下します…」
(自分で自分の異議を却下するか〜〜!?)
「ええ、では、陪審員の方から何か質問はありますか?」
「は〜い!」
元気よく手を上げるコレット。
「子供は何人ぐらい欲しいですか〜?」
(はい?子供?)
首を傾げるゼロス。よく見るとコレットの視線はロイドの方へ向いている。
照れるロイド。
「え〜、子供か?…へへ、そうだな。サッカーチームが作れるし、11人ぐらい欲しいかな。」
(ちょっとあんた達、何の話をしているの?)
そこへ目を剥いたのはクラトスだ。
「異議あり!!」
(…雑談に異議唱えてどうすんの?)
「11人は多すぎる。せめて9人ぐらいにしておきなさい。」
「え〜、9人じゃサッカーが出来ないじゃんか。」
「野球チームが出来るではないか。」
「え〜、野球なんてつまらねえよ。やっぱ俺はサッカーの方がいいや。」
「!!…野球を馬鹿にするのか!野球こそ男の道!ど根性ではないか!」
「そうか?」
首を傾げるロイド。
「大体、十代で子供などまだ早い!もっと清く正しい交際を重ねた後に子供の事は考えるべきだ!」
「清く正しい交際って何だ?」
「た、例えば……文通とか?」
赤くなって恥らう純情男クラトス。
するとそんなクラトスへコレットが呟きを漏らした。
「うわっ、オヤジくさっ!!」
「何だと〜〜!!この自堕落女がっ!!」
「ひっど〜い!」
「おい、コレットの事を悪く言うと許さないからな!!」
このロイドの一言に目を見開いたまま動かなくなるクラトス。
(あちゃ〜、戦闘不能になっちまったよ…)
コレットは舌を出して笑っている。
仕方なくライフボトルを使うゼロス。
クラトスは復活した。
「兎に角だ!二十歳になるまでは結婚など許さんぞ!」
「別に父さんが許してくれなくてもいいよ。親父に許可もらうからさ。」
「!!」
(…今度は瀕死状態かよ。)
ゼロスはレモングミを使った。
クラトスは再び復活した。
「くっ…この程度の敵に梃子摺るとは!」
「あのさ〜、今のあんたの敵はリフィル先生っしょ。親子喧嘩は他でやってくれる?」
「お、おお、そうだったな。つい冷静さを失ってしまった。すまん。」
「…ホント、頼むよ、もう。」
「もう大丈夫だ。これからはちゃんと審議に集中するから、泥舟に乗った気でいてくれ。」
(まだ動揺しているようだね。こりゃあ、有罪を覚悟しておいた方がいいかもしれねえな…)
ゼロスは今度こそ本当に泣きたくなったのであった。
そのまま裁判は続き、ゼロスの旗色は悪くなる一方だった。
しかし、このままでは犯人にされてしまう…と思ったその時だった。現場の資料を見ていたしいながふと呟きを漏らしたのだ。
「この落書き……ゼロスの字と違うような気がするね。」
「それだ!!」
颯爽と立ち上がるクラトス。
(いや、カッコいいですけどね…。本来あんたが気付くべき事じゃないですか?)
「弁護側としましては、この現場写真の落書きの筆跡鑑定を申請致したいと思います。」
それに難色を示したのはミトスであった。
「筆跡鑑定?…面倒臭いよ、そんなもん。いいじゃん、これでパッパッと判決しちゃえばさ。裁判は短く簡潔にって言うのが昨今の流行でしょ。」
「そう言ういい加減な態度が冤罪を生むのだ!」
ビシッと決めるクラトス。
しかし…
「そうか…やっぱりクラトスには僕の気持ちなんて分かっていなかったんだね。(シクシク…)」
「え?…い、いや…何も泣かなくたって…。」
「同情するんじゃねえ!ありゃあ、嘘泣きだろ!」
すかさずゼロスが耳打ちするが、クラトスを奮い立たせるには至らなかった。
「そうだな。やはり裁判は簡潔に済ませなければいかんよな。よし、ではこのまま判決とするか。だからもう泣くな。」
(おいおい…)
「よ〜し、それじゃあ、判決と参りましょうか!!」
嬉しそうに木槌を叩きまくるミトス。そこに先程までの涙は欠片も見られない。やはり嘘泣きだったようだ。
クラトスはと見れば、『よかった、よかった』としきりに頷いている。
もうこうなったら自分で戦うしかないとゼロスは決意した。
「ちょっと待った〜!陪審員の協議もなしにいきなり判決かよ。そんなのおかしいっしょ!!」
「煩いな。つべこべ言うと死刑にしちゃうよ。」
とミトスが言えば、弁護人である筈のクラトスまで、
「そうだぞ、ゼロス。裁判長に逆らうのはよくない。」
なんて言っている。
「!!」
(な、な、何なんだ〜、こいつらは!!これじゃあ俺様が可哀想すぎるじゃねえか!)
「では、判決しま〜す。あ、判決文書く暇なかったから省略ね。」
「……もう勝手にやって下さい。」
「え〜、それでは…」
バンバンと嬉しそうに木槌を叩くミトス。
しかしすぐにその動きが止まった。
「ええと…これって何の裁判だっけ?」
(はい?)
し〜んと静まり返る法廷。
皆の視線がミトスへと集まる。
「エヘ、ごめんね。木槌叩くのがあまりにも面白かったものだから、内容を全く把握していなかったんだ。」
(お前はキツツキか!!)
「おい、冗談じゃねえぞ!こんな裁判官に俺様裁かれちゃうわけ!?」
一人がなっているゼロスの前で、ユアンから差し出された資料に目を通すミトス。
「ああ、この落書きか。懐かしいな〜。」
「はい?」
「だってこれ、半年前に学校へ行った記念に僕が書いて来たものなんだもの。」
「なに〜〜っ!?」
ゼロスは目を剥いた。
(書きたてホヤホヤって言っていたのはどこの誰よ!)
ゼロスの視線を受け目を逸らすリフィル。
だが今はそれよりも気になる事があった。
「で、なんで女子トイレなわけ?」
「あそこって女子トイレだったんだ。あまりに狭いから物置かと思った。」
「狭くて悪かったわね。」
そっと呟くリフィル。
(いや、いくら狭くても便器があるんだから普通分かるっしょ?)
「それなら何で俺様が書いたように見せかけたんだよ。」
「それはさ、怒られるのが嫌だったからだよ。クルシスの為に働くのが神子の務めでしょ。」
「そ、そんな横暴な!」
泣き叫ぶゼロス。
するとそんなゼロスをクラトスが庇ってくれたのだった。
「ミトス、それはあまりにも酷いではないか。ゼロスに謝るべきだ。」
「天使様〜〜!」
感激するゼロス。
ところが…
「あ、でも最後の一言は僕の本心だよ。『クラトス〜、萌え〜!』ってやつ。クラトスはカッコいいもんね♪」
この一言でコロリと変わるクラトス。
「え?…そ、そうか?…い、いや、そう面と向かって言われるとちと照れるな…。まあ、ミトスも悪気はなかったわけだし、今回は許してやってくれ、ゼロス。」
(ちょっと、何丸め込まれてるのよ、あんた。)
ゼロスはなんだか無性に苛々としてきた。
ビッとミトスを指差すと、
「それじゃあ、裁かれるべきはお前って事だ。よくも俺様に罪を被せようとした上に散々甚振ってくれたな!重罪は覚悟しろよ!!」
「え〜!僕、裁かれちゃうの!?…そ、そんな…」
涙目になるミトス。
「嘘泣きしたって無駄だって〜の!俺様は騙されねえぞ。」
「だ、だって…僕…うっ、うっ…ハーフエルフだから学校なんて初めてだったんだ…だから…ヒック、ヒック…だから嬉しくて、つい…エッ、エッ…どうしても記念を残したくてさ…」
「そんな事は関係ないんだよ。悪い事は悪いの!!…なあそうだろう、皆?」」
ビシッと決め、皆を見回すゼロス。彼は、当然他の者も自分の味方をしてくれるものと思っていたのである。
ところが皆の反応は違っていた。
「酷いや、ゼロス!そんな鬼の首を取ったように言う事ないじゃないか。ミトスが可哀想だ!」
と、ジーニアスが言えば、
「うむ。子供の悪戯にそう目くじらを立てる事もあるまい。少々大人げないな。」
「…ゼロスさん、冷酷です。」
「キャン、キャン、ワオ〜ン!(鬼!)」
と、リーガル、プレセア、ノイシュも口を揃えてゼロスを責める。
ロイドとコレットも、
「やっぱあいつ、人間じゃねえ。」
「だね〜!」
クラトスは自らも涙ぐみながら(何故お前が泣いている?)、ミトスの肩を抱いて『お前も苦労するなあ』と慰めているし、ユアンは再び居眠りをしている。
(な、な、何よこれ…悪いのは俺様か!?)
思わず後退るゼロス。
そんなゼロスの肩をガシッと掴み、リフィルが言った。
「ここは一つ、取引をしない?」
「は、は、はい?…取引?」
「あなたが罪を認めれば全て丸く収まるのよ。分かるでしょう?」
「なっ!?…冗談じゃねえ!何で俺様がやってもいない罪でムショ送りになっちゃうわけ?しかもあんなクソガキの為にさ!…大体、そんなことしても俺様にとっては何の利益もない。こんなの取引とは言えないっしょ。」
「あら利益はあるわよ。執行猶予を付けてあげる。」
「だ、だからって、俺様、前科持ちになっちゃうじゃねえか。嫌だね!絶対に嫌!!」
「分からない子ねえ。交通違反やったって前科になるのよ。昨今、前科持ちなんてざらよ。」
どこからか香炉を取り出し、それでグリグリとして来るリフィル。よく見ればそれも盗掘品であった。
(ここにも前科者がいた!)
「どうかしら?もちろんOKよね?」
「え?…い、いや…ええと…」
最後の望みをかけてしいなの方を見るゼロス。
しかししいなは肩を竦めると、
「普段の行いが悪いからこうなるんだよ。これに懲りて、これからは心を入れ替え、真面目に生きていく事だね。」
万事休す…。
ゼロスは項垂れながら小さな声でこう答えたのだった。
「…すみません。俺様が悪うございました。」
「これにて一件落着〜〜!」
それを見たミトスは嬉しそうに木槌を叩き、この裁判はめでたく(?)終結となったのである。
そしてリフィル検事は今日もデッキブラシ片手に盗掘品を投げまくり、悪と戦っているのであった。
−おしまい−