「ドジ〜!」
 自室に戻ろうと廊下を歩いていたユアンは、背後から聞こえてきた声にぎくりとして足を止めた。

(まずい…実にまずい…。)

 なにしろク〜ときたら、ユアンの姿を見かけるとすぐに駆け寄って来て、『どして〜?』『なんで〜?』と常日頃から感じている疑問を機関銃のようにぶつけてくるものだから、煩くて仕方がないのだ。

『どしてお空は青いの?』
『神様が青い絵具しか持っていなかったのだろう。』

『どして夏は暑いの?』
『暑くなければ夏じゃないだろう。』

『どして星さんは夜しか出てこないの?』
『夜遊びが好きなのだろう。昼はそれに備えて昼寝しているんだ。』

 もちろんこんな回答でク〜が満足するわけがなく、結局その度に百科事典で調べなくてはならない羽目となる。しかもその内容をそのまま伝えても理解できないので、更に噛み砕いて分かりやすく説明してやらなくてはならず、ユアンにとっては大変な時間のロスとなっていた。
 だから最近は捉まらないよう逃げ回っていたのだが、今日は運悪く出くわしてしまったのだ。
 天を仰ぐユアン。
 また『どして?』攻撃を食らうのかと思うと気が重かったが、かと言って今更逃げるわけにもいかず、仕方なく引きつった笑顔を浮かべ振り返った。
「や、やあ、ク〜。久し振りだなあ。」
「ほんとだよ〜、ドジ。一体どこに行ってたの?最近全然会わないから病気かと思って心配していたんだよ。」
「そ、そうか。ちょっと仕事が忙しくてな。」
「でも元気そうでホッとしちゃった〜。ク〜ね、今日はどしてもドジにね、これを渡したかったの。」
 ク〜はにっこりとすると、大事そうに抱えていた箱を差し出してきた。
「…これは?」
「今日はパパの日でしょう。それでク〜、いっしょ〜けんめ〜作ったの。」
「パパの日?」
 胡散臭そうに箱を見詰めるユアン。だが、手作りと言われてしまっては受け取らないわけにはいかない。前回の母の日のこともある。もうあんな騒ぎはご免だった。(※ゼロス君の子守唄2参照)
 そこでユアンは渋々ながら箱を受け取ると、ク〜に請われるままに蓋を開けたのだが…。

(え…!?)

 しばしの沈黙の後、悲鳴を上げ、箱を放り投げるユアン。
「な、な、なんじゃこりゃ〜〜!」
 なんとそこにはゴキブリやクモなど見るもおぞましい虫類がうじゃうじゃと入っていたのだ。
「あー、放り投げるなんてひどい!」
「ひどいのはどっちだ!こんな気味の悪いもの集めてきやがって!!」
「大丈夫だよ。本物の虫じゃないよ。グミだよ。」
「グ、グ、グミ?」
「うん!ほら、ママの日にはお花だったでしょう。だからパパの日は虫さんかなと思って。」

(どこをどうしたらそういう結論に達するのだ!?)

「このクモさんはオレンジグミでね、ゴキブリさんはアップルグミ。この特別長〜いムカデさんはミックスグミ。これは作るの大変だったんだよ〜。はい、どうぞ。」
 ク〜は笑顔を浮かべ再び箱を差し出してきた。
 ユアンは気味悪げにそれを見詰めていたが、
「…いや…その、なんだ……そ、そう、私はもう母の日に花を貰ったからな。やはりここは公平に、今回はユグドラ…いや、ミ〜にプレゼントするのが筋というものだろう。」
「ミ〜は気が向いた時にしか遊んでくれないし、何も教えてくれないからパパじゃないの。」

(こ、こいつ…なかなか鋭い人間観察を…。)

「そ、それでは、ゼロスはどうだ?あいつはよく遊んでくれるし、色々と教えてくれたりもするだろう。」
「ゼロはお兄ちゃんで、パパじゃないもん。」
「……私も奴とたいして年の差はないのだがな。(←嘘ばっかり)それに私はお前にとってはママであるわけだし。」
「ドジはク〜のママだけど、パパでもあるの。」

(私は雌雄同体生物か!)

「…ドジはク〜のパパになるのは嫌なの?」
「え?い、いや…別にそういうわけでは…。」
「それじゃあ、なってくれる?」
 涙目で見上げてくるク〜を見て、言葉に詰まるユアン。

(ここで涙を出すなんて反則だ。こんな目を見たら断れなくなってしまうではないか。)

 ついにユアンは折れた。
「……分かったよ。パパとでも、ママとでも、あんちゃんとでも、好きに呼んでくれ。ただ、悪いがそのグミはちょっと…」
「え〜、どして?」
「い、いや…その…なんというか…姿かたちに拒絶反応が…」
「かたちがどしたの?可愛いでしょ?それにすごくおいし〜んだよ〜。」
 そう言って、箱から“ムカデさん”を一匹取り出しモグモグと食べて見せるク〜。“ムカデさん”が口から半分はみ出ているその姿は結構えぐいものがある。
「どう?ドジも食べたくなったでしょ?」
 ブンブンと力一杯頭を振るユアン。
「嫌なの?」
 再びク〜の目に涙が浮かんでくる。
「…ウッ、ウッ…ドジがク〜のグミ食べてくれない。せっかく作ったのに…ウエッ、グスッ…」
 こんなところで大声で泣かれては、嫌でもユグドラシルの耳に届いてしまうだろう。そうなったらきついお仕置きを食らうのは必定だ。
 ユアンは慌てて言葉を添えた。
「ま、待て、泣くな!…グミは受け取れん。だが、そのかわりに今日一日だけならパパとして好きなだけ遊んでやるぞ。今日一日だけな。」
 途端に涙を引っ込め、両手を広げてみせるク〜。
「ほんと?わ〜い!…じゃ〜、だっこして〜!」

(こいつ…本当に泣いていたのか?)

 なんて現金な奴だと思いながらも、ここは我慢と抱きあげてやるユアン。ユグドラシルのお仕置きに比べたら、だっこぐらい楽なものだ。
 ところが…。

 ちゅー、ちゅー、ちゅー
(へっ?)

 急に聞こえてきた変な音に下へと目をやってみると、なんとク〜がユアンの胸倉をこじ開け吸いついているではないか。
「げっ!!……ああ、いや〜ん、そんなとこ…うっふ〜ん♪」
 しばしの間恍惚の表情を浮かべ悶えていたユアンであったが、ハッと我に返ると、慌ててク〜を引き剥がし放り投げた。
「何さらすんじゃ、このガキがっ!!」
「だってパパになってくれるっていったじゃん。だからおチチをもらおうと思って。」
「なんでパパがお乳をやらにゃあならんのだ!この胸を見ろ!乳が出るように見えるか?」
「ほんとだ。ぺったんこだねえ。なんだかボコボコしているし、食べた後のお魚さんみたいだ。あ、もしかしてこれがストローになるのかな?」

なるかっ!これはあばら骨だ!!

「じゃあ、おチチはどこ?」
「そんなもんあるわけないだろ!乳が出る男なんて見たことないわ!!」
「嘘だ!だってク〜、本で読んだんだもん。パパのこと、チチっていうんでしょ。だからおチチが飲めると思って楽しみにしていたんだよ。それなのに……ドジの意地悪!!」
「意地悪って…別に意地悪をしているわけではないぞ。胸の乳とパパの父とは同じチチでも意味が違うのだ。だからパパの胸をいくら吸っても乳など出ん。」
「どう違うの?」
「えっ?…どうって…それはつまり…」
「どうしてチチっていうのにおチチが出ないの?」
「だから…それは…」
「…そっか。やっぱりドジはク〜のパパになるのは嫌なんだ。それで意地悪してるんだ。グスッ…」
「だ〜〜〜〜っ、泣くなって!別にそういうわけじゃないんだから…」
「だってグミも食べてくれないし、おチチも飲ませてくれないじゃない。」
「だからそれは…。」
 返事に窮するユアン。

(困ったな。乳はママが出すもんだと言っても『ドジはママでもあるんだよね』と言い返されそうだし……おお、そうだ!!こんな時は奴に押し付けるのが一番だ!)

「ク〜。乳のことならゼロスに聞くのがいいぞ。なんたってあいつは乳のプロフェッショナル(?)だからな。詳しく説明してくれるだろう。」
「ほんと?…そんなこと言ってク〜を追い払おうとしてない?」
「え?まあ、そういう気持ちもないわけではないが…」
 うっかりと口を滑らせてしまうユアン。
「あ、いや、そうではなくて…つまり…疑問があればやはりプロに聞くのが一番だと…」
 目を見開いたク〜に、慌てて取りつくろうとするが、すでに口から出てしまった言葉を消すことなどできるはずもなく…。
 ク〜はくるりとユアンに背を向けると、
「ドジなんてク〜のパパじゃない!だいっきらいだ〜〜!!」
と叫びながらデリス・カーラーンを飛び出して行ってしまったのだった。



 それから30分後…。
 ク〜はゼロスを前に、自分で作ったグミを頬張りながら愚痴をこぼしていた。
「…でね、ドジったらキョゼツハンノーがどうとかク〜には分からないこと言って、グミを受け取ってくれなかったんだよ。せっかくゼロからもらったお料理セットでいっしょ〜けんめ〜作ったのにひどいや。」

 そう、実はク〜があのグミを作るのに使った虫の型は、ゼロスがプレゼントしたものだったのだ。店のおやじの『今、子供達の間で大人気!』との言葉につい乗せられてしまい、ク〜を喜ばせたい一心で、その中でも一番人気という“ゲテモノシリーズ”なるものを買って来たのだが…。

「ちょっと選択を誤ったかね…。」
 ぼそりと呟くゼロス。

 あの時は、最近のおもちゃは面白いねえと感心したものだが、こうして実際に食べている人物を前にしてみると、ユアンが受け取りを拒否した気持ちも分かるような気がする。なにしろ物がグミだけにプリプリと揺れ動き、妙なリアル感を感じてしまうのだ。もしこれがチョコレートなどの固い物なら、また感じ方も変わって来るのだろうが…。

 するとそんなことをぼんやりと考えているゼロスに、ク〜が“ゴキブリさん”を差し出してきた。
「ゼロも食べる?おいし〜よ〜。」
「えっ!?」
 この突然のお誘いに、ビクンと身を震わせるゼロス。ク〜の手のひらにのっている“ゴキブリさん”を凝視する。
 この色合い、まさにゴキブリそのものだ。よりによって何故これをアップルグミで作るのか。せめてレモングミのような実物とかけ離れた色で作ってくれたなら、まだ食べようという気になれたものを…。
 当然、ゼロスは辞退することにする。
「…………あ…ええと…それがさ。残念なことにたった今飯食ったばかりでお腹が一杯なんだよね。ホント、残念なんだけどさ。ごめんな。」
「そうなの?それじゃあ、また今度作ってくるね。」
 ク〜は“ゴキブリさん”を自分の口へと放りこみ、にっこりと笑った。
 その笑顔がクラトスの笑顔と重なってしまい、またまた身を震わせるゼロス。
 きっと今夜はゴキブリをむさぼり食うクラトスの夢にうなされることだろう。
 そんなげっそりとした様子のゼロスに気付くことなく、ク〜は“ゴキブリさん”を噛み噛みしながら話を続けた。
「ところでさあ、おチチのことなんだけど…。」
「え?お乳?」
 急な話題の転換にどぎまぎするゼロス。何故ここで乳が登場するのか理解不能であった。なにしろ彼は、ユアンが父の日のプレゼントであるグミを拒否した話しか聞いていないのだ。分からなくても当然であろう。
 だがク〜の方ではもうゼロスは分かってくれているものと思い込んでいるようで、どんどんと話を進めて行く。
「パパはチチだから、ク〜はね、おチチがもらえると思っていたの。でもドジの胸を見てみたけどペッタンコでどこにもおチチが入っていそうになかったし、どしてかな?」
「へ?なんだって?パパがお乳でペッタンコ?……それって一体何の話?」
 ますます混乱してしまうゼロス。
「だからね。ドジにおチチをもらおうと思ったら、パパはチチなんて出さないって言われたの。でも変だよね。だってパパのことチチっていうんでしょ?チチなのにおチチが出ないなんておかしいよ。そう言ったら、ドジがね、ゼロに聞けって。ゼロならチチのプロだから分かりやすく教えてくれるだろうって言ってたの。」

(乳のプロって何よ。随分な言い方じゃねえの…)

「ねえ、ゼロ。出るんでしょ?チチって言うんだからおチチが出るんだよね?ドジは嘘ついているんだよね?意地悪して飲ませてくれないだけなんだよね?」
「いや、それは……やっぱねぇ、いくらあいつが変人でも乳は出せないっしょ。一応男だし。」
「男の人だと駄目なの?」
「そ、そりゃあね…。どう考えても乳を製造する場所がないっしょ。」
「そう言えば、ゼロの胸もぺったんこだね。」
「ぺったんこって……あんたねえ、その言い方は傷付くよ。これでも鍛えているんだからさ。もっと別の表現方法があるっしょ。『引き締まった男らしい胸ね〜♪』とか、『逞しくて素敵!』とか。……まあそれはともかく、そういうわけでお乳を出すのは男には無理なわけよ。胸にふくらみがあるのは女の人でしょ。」
「…それじゃあ、女のパパならいいの?」
「はい?女のパパ?…………あの〜、参考までに聞きたいんだけれど、お前にとってのパパとママってどういう人のことを言うの?」
「あのね、パパは勉強教えてくれて、いっぱい遊んでくれるの。それでママはね、ご飯やおやつを作ってくれたりお洗濯してくれて、それからいっぱい遊んでくれるの。」
「ええと…そこに性別は存在しないわけ?」
「せいべつって何?」
「いや…なんでもない。」
 どうりで母の日も父の日も同じユアンにプレゼントしたわけだ。尤も、今のク〜にとっては両親のような存在はユアンしかいないのだから仕方がないのかもしれないが、それでもまさかこんな基本中の基本からごちゃごちゃになってしまっているとは思わなかった…。
 これではどこから説明して行けばいいのか分からず、ゼロスはほとほと困り果ててしまった。
 大体ユアンがいけないのだ。いつもはユグドラシルの命令だとか言って、ク〜と会わせないようにしているくせに、こんな時だけ押し付けてくる。
「よーし!だったらこっちは乳そのもので勝負をかけてやるぜ!行くぞ、ク〜!!」
 ゼロスはきょとんとした様子のク〜の手を掴むと、急いで街へと飛び出して行ったのだった。


 ゼロスがやって来たのは宿屋の一室で、そこにはしいなが泊まっていた。
 彼女はちょうど採って来た薬草の整理をしているところだったようで、テーブルの上にはたくさんの薬草が広げられている。
「げっ、アホ神子!?な、なんなんだい、いきなり!!」
 突然現れたゼロスに、作業の手を止め嫌悪感丸出しの目を向けてくるしいな。
 ゼロスは構わずズカズカと部屋の中に入って来ると、
「やあハニー。いつから草食動物になったわけ?ダイエット中とか?」
「……別にダイエットをしているわけじゃないさ。これは薬草。里に具合が悪いお婆さんがいてね。これを煎じて飲むと良く効くんだ。この辺りにたくさん生えているものだから、ついでに採ってきたのさ。と言うか、あんたは一体何をしにこんな所に来たんだい。はっきり言って邪魔だからどこかへ消えてくれないかね。」
「つれないね〜。なんでって、用があるから来たに決まっているでしょうが。今朝城で見かけたから、たぶんまだいるんじゃないかと思ったんだよね〜。いてくれて助かった。」
「あたしの方ではあんたに用なんてないけどね。」
「まあまあ、そう構えなさんな。訳はこれから話そうとしているんだから。実はこいつのことでちょっとさ。」
 ゼロスはしいなにク〜を紹介すると、今までのことを話して聞かせた。
「……ってわけでさ。ほら、乳と父って読み方が同じだろう。それでこいつ、ごちゃごちゃになっちゃっているみたいなんだよね。もしこのまま大人になっちまったらどうする?その時になって『私はそんな勘違いをしていたのか。恥ずかし〜』なんて赤面したって遅いんだぜ。そうなったら最後、世間からつまはじきにされ、暗い一生を送ることになるんだ。そんなの可哀相だろう?」
「普通、大人になる前に分かると思うんだけどね…。」
「もしもの話をしているんだよ、俺は!絶対にないとは言い切れないだろう?お前はこいつがつまはじきにされてもいいって言うのか!?そうなったらこいつ、きっと世をはかなんで自殺するぞ。お前がこいつを殺したことになるんだ。」
「そんな無茶苦茶な…」
「そうさせない為にも今の内に理解させる必要があるんだ。だからそこんとこ、お前からちゃちゃっと説明してやってほしいんだよ。」
「だったらあんたがやればいいだろう。なんであたしが…」
「だってお前は、古くからの慣習を重んじる地、ミズホの民だからさ。そういう語源って奴にも詳しいだろう?それにお前って乳の権化だし。」
「乳の権化ってなんだいっ!」
 怒り心頭に手を振り上げるしいな。だがそこへ目を輝かせたク〜が割り込んで来た。
「お姉ちゃん、大きいね〜。おチチがいっぱい入っていそうだ!もしかしてお姉ちゃんってパパなの?」
「えっ、パパ?い、いや、あたしは…」
「ク〜。このお姉ちゃんがパパかどうかは別として、お前の疑問をすっきり解決してくれることは確かだ。なにしろこのお姉ちゃんは世界一の乳製造機だからな。見ろよ、この馬鹿デカイ胸を。いかにもって感じだろ?だからチチのことなら任せなさいってさ。……ってことで、しいな、あとはヨロシク!」
 ゼロスは軽く手を上げると、腰掛けていたソファーから立ち上がった。
「えっ?ちょ、ちょっとゼロス?」
「いや〜、最後まで見届けたいのは山々なんだけど、実は俺様、これから仕事なんだよね〜。念の為言っておくけど、ク〜は俺の命より大切な恋人なんだから間違ってもたらい回しになんかするんじゃねえぞ。あとク〜、解決したら俺の家に来いや。もうすぐ夕方になるし、今夜は泊まっていけよ……じゃ、そういうことで!」
「ちょっと冗談じゃないよ!待て、アホ神子―!!」
 言いたいことだけ言ってスタコラサッサと出口へと向かうゼロスを慌てて止めようとしたしいなであったが、そこへまたもやク〜が割り込んできて服の裾を引っ張ってきた。
「ねえ、お姉ちゃん。ク〜、世界一のおチチ飲んでみたいな。少しだけちょうだい。」
「えっ!?…い、いや、それは…」
 その声にゼロスの足が止まる。振り返って困惑しているしいなとク〜を見比べていたが、やがて戻って来るといたずらっぽく笑いながら、ク〜の後ろに並び言った。
「そんじゃ、ク〜の次は俺ね。」
 その態度についに堪忍袋の緒を切らすしいな。
「ちょっと!!あんたまで一緒になって何やっているんだい!」
「やだな〜、そんな怖い顔しなくてもいいっしょ。ジョークだよ、ジョーク。と言うか、万が一出た時にはおこぼれにあずかろうかな〜なんてね。」
「万が一なんてあるわけねえだろ、このっエロ神子――っ!!」
 次の瞬間、彼女の怒りの鉄拳が炸裂し、ゼロスは開け放たれた窓から外へと消えていったのだった。


−つづく−